2011年4月5日火曜日

震災の体験@東京

 震災から3週間が過ぎ、正常化する外来のなかでみなさんから震災の体験をいくつかお伺いすることができました。東京では震災遭遇時にその人がいた場所によってずいぶんと感じ方が違うようでした。

 原宿、表参道の路上で震災にあった方によれば、周囲のガラス張りのビルが大きく揺れて、騒然とし、車は片側に寄せて停車、ガラスが割れるのではないかと不安になった人々が中央分離帯を歩いて必死に移動していたそうです。その方はてっきり関東大震災がきたんだと思ったとのこと。また、30階以上の高層マンションにお住まいになっている方は、免震構造で大きく揺れて地震も確かに非常に恐ろしかったそうですが、その後停電したためエレベーターが止まって階下に降りることができず(一度降りたら最後、部屋に戻れないと思ったとのことです)、テレビもつかず事情がつかめないままだんだん日が暮れていくことでさらに不安が募ったとのことでした。一方で、自宅にいて、いつもより揺れたものの、大震災とまでは思わなかったと言う方も。

 みなさんがほぼ口をそろえておられたのは、「テレビを見ていて気持ちが悪くなった」ということでした。部屋に水が入ってくる夢を見たという方もおられました。小さなお子さんも一緒にテレビを見ていたところ、夜泣きやおもらしが始まったという方もおられました。3日くらいは見たが、その後はなるべく消していたという方が多くおられて、賢明な判断をされたと思いました。

 幸いなことに、ほとんどの方たちは、数日は不安や不調を感じ、地震酔いを感じたものの、早い方で1週間、遅い方でも2週間ほどでだんだん落ち着いてきたと言っておられました。軽い急性ストレス反応で終了した方がほとんどだったのでしょうね。
 しかし、これまで何らかのトラウマ体験があった方や、場所により激しい揺れを体験した方など、個別的にはまだ具合が戻らないという方も確かにおられます。不調を感じておられる方は来院時に遠慮なくお伝えください。

加茂登志子

4月5日、今日クリニックの前に咲いている桜です。きれいですね。
 

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