日本で起きた災害について子どもに話す

2011年3月
日本で起きた災害について子どもに話す

日本を襲った地震と津波は、世界中で多くの人々に、悲しみ、喪失感、無力感などの様々な感情を
引き起こしたと思います。
子どもたちは日本についての話や映像について、どう考えていいか、どう感じていいのかわからな
くて困っているかもしれず、信頼している大人にどうしたらいいか助けを求めたり、教えてほしい
と頼ってくるかもしれません。

 まず会話を始めてください。出来事について子どもと話してください。起ったことについて話
さないでいると、それはかえって子どもの頭の中でもっと恐ろしいものになってしまいます。
黙っているということは、起ったことがあまりにも酷過ぎてあなたが話すこともできないとい
う印象を与えてしまったり、何が起こったかあなたが知らないのではと思わせたりしてしまい
ます。さらに、子どもたちがその出来事についてすでに耳にしている可能性は高いでしょう。

 子どもはすでにどんなことを知っているのでしょうか?まず、子どもがこの出来事についてメ
ディアや友達からどんなことを聞いているのかを尋ねてみてください。子どもがどんなふうに
理解しているか聞きとってください。幼い子どもが説明をしてくれているとき、誤った情報や、
誤解しているところがないか、また子どもが奥底に恐怖や心配を抱えていないか耳を傾けてく
ださい。

 間違った情報は優しく正してください。もし子どもが正確でない情報や、誤解していることを
話していたら、その子どもが理解できるぐらいの正しい情報を与えてあげてください。

 わからないことがあれば質問していいと子どもに促してあげて、尋ねられたことには直接答えてあげてください。日本に起ったことについて難しい質問を子どもがしてくるかもしれません。
たとえば、自分たち家族にも被害を及ぼす地震が起こる可能性があるか尋ねてくるかもしれま
せん。その子は、たぶん「起る可能性が高いかどうか」を本当は聞きたいのでしょう。実際に
可能性が低いのであれば、地震があなたの住んでいる地域で起こる可能性はとても低いと話し
て安心させてあげてください。また、子どもは自分は安全なのかどうかを尋ねてくるかもしれ
ません。緊急時に安全を確保するために、あなたの家族がどんな計画をしているかをおさらい
する良い機会かもしれません。どんな質問を子どもが尋ねてきたとしても、答えてあげてくだ
さい。そうすると、子どもはあなたにどんなことでも話していいと思えるし、ちゃんと答えて
くれるのだと信頼できるからです。あなたが子どもに答えるときに、日本で人々を助けるため
になされている努力について知っていることがあればそれも伝えてください。大人と同じよう
に、子どもも危機的事態について自分が理解していると感じていると、よりうまく対処するこ
とができます。このような質問をしたり答えたりするやりとりは、子どもがこの緊急事態を理
解し、それに対応しはじめるのを引き続き支えていくでしょう。

 メディアにふれる時間を制限しましょう。災害に関連する画像や音をメディアを通して子ども
たちがさらされる量を制限してください。あなたがテレビで見たり、ラジオで聞いているもの
は、子どもにも聞こえたり、目にはいっていたりすることがよくあることも覚えていてくださ
い。子どもがとても幼い場合は、メディアからの情報に触れさせるのは極力避けてください。
また、あなた自身もメディアにふれる時間を制限するのを忘れないでください。出来事につい
ての情報に絶え間なくさらされ続けると、子どもよりも大人のほうがストレスを感じることが
あります。

 困っている人の支援をする。その子どもが被災した人たちのためにできることはどんなことが
あるのかを一緒に考えてあげてください。例えば、カードを書いて送ったりするなどがあるか
もしれません(教会や赤十字といった団体がそういったカードを集めていることはよくありま
す)。もし子どもが働いているなら、稼いだお金やまたはお小遣いの中から寄付をすることも
考えられるかもしれません。
 また、地元の地域のなかで困っている人たちのために何かすることもその子にとって有益なこ
とかもしれません。他者を手助けしたとき、子どもたちは自分の中のレジリエンス(ストレス
になる出来事があっても立ち直る能力)を伸ばすことができるのです。

 良いお手本になってください。日本に起きた出来事について、あなた自身の気持ちをあなたの
子どもに話してみることも考えてみてください。どんなふうに対処し、また将来にどんなふう
に備えるのかを子どもに示すよい機会です。しかしながら、あなたがそうする前に、前向きな
計画や希望に満ちた計画をあなた自身が話すことができるどうかまず確かめてください。十分
に休んだり、食事をとったり、運動したりするなど、自分を大事にすることを子どもに見せる
ことも、良いお手本になるということに含まれます。

 辛抱強くいてください。ストレスがかかっているとき、子どもは普段よりも態度が悪くなった
り、集中できなかったり、注意が散漫になったりします。子どもたちはいつもよりもあなたに
辛抱強くいてもらったり、世話をしてもらったり、愛情を注いでもらうことが必要になるでし
ょう。

 もしご自分の子どもの言動について心配になるようなことがあれば、かかりつけの小児科医や、
主治医、または資格を持っているメンタルヘルスの専門家に相談してください。

制作者: National Center for School Crisis and Bereavement, Cincinnati Children's Hospital Medical Center
翻訳:熊谷珠美 Tamami Kumagai  加茂登志子 Toshiko Kamo  PCIT-JAPAN